2009年9月17日 (木)

借家更新料返還訴訟のメリット・デメリット

先日は更新料無効判決のニュースが大々的に流れたばかりですが、借家契約の保証金返還訴訟を一件受託しています。

こないだもここで書いたばかりですがホントこの問題は頭が痛いです。

私個人としての信条は借家契約の更新料制度も敷引き制度も古きよき伝統の一つだという見方をしていてどちらかと言うと賛成派なのですが、司法書士と言う職業柄、ウチに相談に来られた方が借主様である場合には保証金返還請求の相談にも乗らせていただいています。

今回もその一つ。

仕事として引き受けた以上は全力で相談者の利益擁護に走らせていただきます。

 ・・・

ところで

更新料の話に戻りますが、

現に借家に住まわれている方から家主に向かってこれまで支払ってきた更新料返還請求が今すぐやれるかと言うとこれは難しいものがあります。

なんせ判例としては確定したわけではありませんので

訴訟を起こせば100%更新料が戻るという保証はどこにもないのです。

しかもそれをすると次回契約更新時には更新料を支払ってもらえなくなった家主からは当然家賃の値上げを要求して来ることが予想されます。

当然コレに対する訴訟経費も覚悟しておかなくてはなりません。

それなら

今はとにかく更新料を払っておいて退去するときにダメ元でそれまで支払った更新料の全額を返還請求すればいいんじゃないか・・・などとお考えの方もおられるでしょう。

ですが、その場合、ひとつだけ注意しておくことが。

借家の賃貸契約期間は通常2年になっているはず。2年に1回の更新です。

ところが債権の消滅時効期間は10年。

つまり10年以前に支払った更新料の返還請求権は時効消滅していることになります。

ですから、

逆算すると、

最高でも10年以内(過去5回分)の更新料についてのみしか返還請求ができないという計算になります。

 ・・・

こういう問題は、我々実務家の感覚ではどう考えればよいかと言うと、

せいぜい一審で和解勧告がなされて請求額の半分が戻ればマシな方でしょう。

 ・・・

和解はイヤだ!

とにかくトコトン判決をもらいたいのだ!

そういう方にはまずこういうグレーゾーンに関する訴訟は一審判決でカタが付くなんて思ってはいけません。わが国の裁判は三審制ですから最高裁まで行く覚悟が要ります。

当然そこまでにかかる訴訟経費も自己負担です。

つまり

弁護士さんや我々の報酬を考えると

仮に30万円の更新料返還訴訟をする場合

まず

①住んでいるその借家を退去する。

②次に訴訟を起こす。

一審判決で全額請求が認められた場合

弁護士費用が10万円と諸経費2万円・・・・訴訟経費12万円

③相手方から控訴され応訴

二審判決で請求が認められなかった場合

弁護士費用がさらに10万円と諸経費2万円・・・・訴訟経費12万円

④こちらから上訴

上訴審判決で請求額金30万円が認められた場合

弁護士費用がさらに10万円と諸経費2万円・・・・訴訟経費12万円

利益・・・30万円

かかった経費・・・36万円

※しかも家主が高齢者で任意に支払わなかった場合・・・さらに強制執行費用(10万円)がかかる。

結局、住居を出て、さらに、『6万円+強制執行費用(10万円)』の損ということになるかもしれません。あくまで推測値でしかありませんが・・。

 ・・・

ウチはそんなに報酬を戴いたりはしませんが

それでも請求額次第では割に合わないケースもあります。

ウチの場合

一応シミュレーションしてお客様に納得いただいてから受任するようにしています。

大体濡れ手に粟みたいなわけには行かないのが訴訟の実情だということだけはご理解しておいていただきたいものです。

2009年9月 9日 (水)

事業不振にあえぐ会社経営者を巡る相談

一つ目は昨日と違う方の建物明渡し相談の件

先日、延滞家賃督促の内容証明を相手方に送付したところ、管理会社に相手方から会いたいとの連絡があったとのこと。

管理会社によれば、当の家主さんの方は我慢の限界を超え怒り心頭に達していてともかく明渡してもらってほしいとの一点張り。

まあ相談がウチに来た時点でそういう筋書きで行こうとなっていたのですけど、相手方から会いたいと言って来られるとついつい一度くらいは会って話くらい聞いてあげるか・・・などとなってしまうのが人情です。

どうせまた、延滞家賃の支払いを待ってほしいと言ってくるのは分かっていますけどねー。

そもそも事業をしていて

借りている建物が工場や倉庫だったりする場合はその建物は掛け買いのない重要な生産拠点のはずでしょ。

それほど大事なものなら何をおいても家主に賃料を支払いのが道理と言うものです。

事業の不振が続いていて・・などと言う理由は延滞の理由にはなりません。

過去一度も延滞がなく、たまたま今月待ってほしいというのなら分かります。

けれども、もう何年も家賃の支払いが遅れに遅れて、その合計が○○万円を超えてしまい、しかも今年に入ってからは満足に月々の家賃すら支払わず、勝手に減額した家賃を振り込んでいるのだとか・・・。

事情は良く分かりますが

事業がそんなに大変なら撤退するしかないだろうと傍目から見ているとそんな気がします。

当の経営者の立場ともなれば

家族や従業員の生活のことをあれこれ思うところもあるんでしょう。

ですが

ここはやはり

どう考えても

賃料すら支払えなくなったということは

もはや

経営者としては失格ということです。

潔く失敗を認める覚悟も大切です。

 ・・・

不思議なことに

今日もまた相談があったのが売掛金債権者から回収の相談。

債務者の会社の事業がうまく行かなくなったので

営業権ごと会社まるごと債権者に譲渡して清算したいと言われたがどうしたらよいかとのこと。

ちょっと昔なら弁護士さんに相談が行っていたような話ですが

最近はこういう相談も我々のところに持ち込まれるようになりました。

とは言え

我々の場合、簡裁代理権限のこともあり

こういう相談に対しては、仕事として受任していいか迷うところです。

ただ

債務者側の100%減資をした後、債務を株式化して債権者である会社を株主とする第三者割り当て増資をして、実質会社の買収をするというのならお手伝いできる場合も考えられますけどねー。

 ・・・

あと一つは

不動産登記費用の支払い遅延という問題。

経理部に請求書が回っていなかったなどと言われるのがオチなんですけど、こうどこもかしこもそんなに似たようなことが続くかというくらい・・・。

苦しい弁明なんかしないでもらいたいです。

ほおっておいたらそのまま・・。

企業のモラルはいったいどうなっているんでしょう。

大手金融機関が介在していてもコレですからねー。

ホント、不況ならでは悩みが増えています。

2009年9月 8日 (火)

建物明渡し相談の決着

こないだから家賃が滞っている工場兼事務所の明渡しの相談を相次いで二件受任しました。

家賃滞納の理由はやはり不況による売り上げ不振。

どちらの滞納者も似たような状況にあるのには驚きます。

時代ですよねー。

家賃滞納による建物明渡し訴訟というのは、我々司法書士の簡裁訴訟にぴったりです。まさにこれからの司法書士の裁判事務のカナメになりそうな予感がします。

もっとも

事業用借家の場合は、借家と言ってもすぐに簡裁代理権を超えてしまいますけどね。

今回の一つも、すでに延滞家賃が1000万円を超えていました。

もうこれは我々が関与するとすれば本人訴訟しかありません。

 ・・・

ところで、今日はそのうちのもう一件の方なんですが、二ヶ月延滞していて、どうしようかという家主さん側からの相談でしたが、急転直下落着しそうだと業者さんから連絡がありました。

家賃の延滞は少なくとも三ヶ月以上の延滞がないと裁判では契約解除・明け渡し請求が認容されません。この三ヶ月という条件も確実ではありません。

こちらの方はまだ内容証明で契約解除通知と家賃督促状を送ったのみ。

事案は、家主に無断で建物の借り手が他人に営業譲渡をしてしまったというものでした。

社会保険庁から家主さんに問い合わせがあり、事業者(=借家人)が社会保険料を滞納しているが、建物の賃貸契約の現状とか、建物利用状況は今どうなっているかと聞かれたのがきっかけだったようです。

家主さんが急遽現地を見に行ったところ、

専務の話では社長が勝手に全く知らない会社に事業を売却したとのこと。

従業員に聞くと、新しい会社が従業員ごと引き継がれているとのことでした。

家主さんとしては全く寝耳に水の話ですから、さぞかしびっくりされたことでしょう。

そもそも営業譲渡なんかは法務・労務・税務に許認可手続き・・と極めて実務手続き面は複雑ですから、当人通しで勝手に契約して決済までしているというのは異常です。

家主さんもうすうすその異常さを感じておられた様子。

社会保険料が延滞していてはいつ預かっている保証金が差し押さえされるか分かったものじゃありません。

なので

わざわざ二か月分の延滞家賃について内容証明を出したのも、保証金で相殺して少しでも預かり金の残額を減らしておこうと言う作戦でした。

 ・・・

借家権の無断譲渡は契約解除の正当理由になります。

なので

ただの家賃滞納なんかよりこちらの方がはるかに契約解除による建物明け渡し請求がしやすい環境だとは言えるんですけど・・。

まあ一番いいのは

新しく営業権を買ったと主張する会社と賃貸借契約を結び直せればね。

相殺で乏しくなった保証金を積み増ししてもらい、そのうえで滞納家賃についても少なくとも無断使用開始時点からの分は家賃相当額の損害賠償ということでなんとか対処してくれると良かったのですが、途中いろんなことがあって・・。

もし

それに応じてもらえない場合は

新しい営業主には賃貸契約の解除と建物明渡し、従前の借主には滞納家賃の支払い請求を引き続きして行くことになります。

今日の話では、新しい事業主と話がつきそうだとか。

まあ私の仕事は中断してしまいましたが話し合いで解決できそうなのならそれに越したことはありません。とにかく良かったです。

2009年9月 7日 (月)

ペット訴訟、上告審判決下る!

長かったです。

小さな簡裁訴訟でしたが、こんなに長引くとは・・。

まさか上告審まで行くとは思いませんでした。

判決内容の当否はあえてここでは書きませんが。。。

 ・・・

昨今のペットブームに乗ってペットビジネスが盛んです。

ペットに関するこうしたトラブルが訴訟沙汰になるのも今風なのかなあと思ったりもします。

事案は、飼い犬に飼い猫を噛み殺されたことによるネコちゃんの飼い主から相手方に対する慰謝料請求。

こちらはその訴訟の原告代理でした。

 ・・・

簡裁・地裁と裁判経過を通して思ったのですが、

裁判官の中にもイヌ好き派・ネコ好き派とそうでない人達がいますね。

しかもそれが如実に訴訟指揮にも出てきたりして・・。

というのも、

第一審の簡裁での判事は、途中で異動があったりしたため、

当初担当された判事さんは明らかにペット愛好家だったのでこちらの主張もよーく聞いてくれているなーと言う印象でした。

ところが、

その後に交替された判事さんというのがあきらかにその反対派の人だったようで、

たかがペットのことで・・・という態度がアリアリ。

なんせ

法廷に入ってくるなりその場で法衣に着替えるような判事さんですからねー。

“こっちは忙しいんだよ。いちいちイヌネコのことで裁判なんかしてられるか”・・・。

とまあ、実際にそのような発言があったわけではありませんが、少なくとも原告席で裁判が始まるのを待っていた私の目にはそう映りました。

案の定、裁判が始まっても、すべてがそんな感じ。

被害者心情を立証するために原告の本人尋問の申し出をしたにもかかわらず、証拠調べも省略されて判決が言い渡されました。

当事者尋問というのは証拠調べの中ではとても大事なプロセスじゃないですか。

それを一刀両断で、“その必要はないでしょう・・・”ですと。

こちらとしては個別的具体的なもろもろの事実を立証しようとしたというのに、最後まで大雑把に扱われている感が拭い切れませんでした。

第一審は驚くほど低額な慰謝料認容判決でした。

二審はこちらから控訴しました。

控訴審では、慰謝料認容は一審判決の約三倍になりました。

司法書士の簡裁代理訴訟の難点は、地裁に上がると代理権がなくなり本人訴訟となります。

大抵の司法書士さんが一般訴訟を嫌がるのはここなんですね。

もっとも私の方は本人訴訟は何回となくやって来ていますから、別段代理訴訟でも本人訴訟でも形式が変わるだけでどちらでも構わないのですが。

まあ今回は原告の方がしっかりと自分の意見を主張できる人でしたのであり難かったです。

相手方はさらに高裁に上告。

その高裁では上告却下でケリがつきました。

 ・・・

金額的には勝ったのか負けたのか微妙な金額でした。

なんせ相場がありませんからねー。

簡裁判決後、某新聞社社会部から取材依頼の電話を頂戴しましたが、事件係争中であったのと原告の心理状態を考え、お断りしました。

2009年8月30日 (日)

借家契約更新料の特約は無効との高裁判決

先週末に出ましたね。

更新料特約が消費者契約法に反するとのこと。借家契約の更新ごとに更新料を支払う賃貸契約制度はここ大阪ではあまり耳にしませんが、慣行として行われている地域があるのだとか。

感想を先に書くと、

借家契約と言ってもさまざまな背景、つまり、地域とか、立地とか諸々の諸条件によって、成り立っているんですね。正に慣行というもの。

慣行ならそれはそれでいいのではないかというのが正直な感想です。

こんな判例が出た日にはまたぞろ家主相手に過去に受け取った更新料を返せという過払い訴訟が弁護士さんや司法書士から出てきそうですねー。

まあそれはおいといて、

社会的弱者である賃借人保護と言えば聞こえはいいですが、そこまでして賃借人の保護をしなければならない必要性があるのかどうか、中央集権的に全国一律の借家契約内容に統一する必要があるのかどうかは大いに疑問があります。

地方の時代にまさにそんな中央のやり方に持って行こうとすることこそが独禁法違反なんじゃないのかなあ。

 ・・・

裁判所というのは、賃貸事情や大家さんの大変さが分かっているのでしょうかねー。

もっと民間事業であるという点に配慮してもらいたいですねー。

市営や府営住宅とはそもそも目的が違うんですから。。。

まるで賃借人=社会的弱者

つまり、すべての賃借人がお金に困っていて、住むところに困っているかのような前提を基にした発想のような気がしてなりません。

敗戦後の日本とも状況が違いますものねー。

持ち家に住めない人=社会的弱者

という発想は、ある程度統計的には当たっているような気もしますが、ただ、中にはお金はあるけど様々な理由で借家に住んでいるという人たちも結構いるんですよね。

今どき持ち家がステータスだなんて考えている人もそう多くはないでしょう。

現にヒルズ族なんかは家賃50~100万円もの高額家賃で部屋を借りていますしね。

高級賃貸のコロニーに住む方がステータスだというケースもあるのです。

つまり、更新料特約が借家人の生活を脅かしているという事実は必ずしもすべての借家契約に共通する前提だというわけではないということも言えるのでは・・。

それに、本当に低家賃の築古年長屋なんかでは家賃も更新料もそれなりに最初から調整されているはずでしょうし・・。

(もっとも築古年物件で新築賃貸マンション並みの更新料を取っているとしたらこれは確かに暴利問題の可能性が出て来ますよ。)

とりあえず私が言いたいのはバランスが大事だということなのです。

物件価値・家賃・更新料の設定額のバランスが適正であって、その地域での慣行として逸脱していない範囲内なら、私はこのような特約の効力も認めてもよいのではないかと言う気がします。

何と言っても借家人自身が入居前に特約の存在は承知のうえで入居したのですから、それを後になってから“消費者の無知に乗じて”・・などと断定してしまうことには何か違和感を覚えてしまいます。

 ・・・

これって前にもここに書きましたが、敷金特約の無効判決が生まれたのと同じ土壌の発想があるように思います。

借家人に選択の余地も何もない状態で一方的に弱者である入居者に不利な条件を押し付けているから消費者保護に反するのだという論法は、むしろ賃貸事情を知らない偏見であって、世の中の価格は概ね需給バランスで成り立っているのだというごくごく当たり前のことを見過ごしているのでは・・。

バランスが明らかにおかしくそれが原因で相手方を一方的にいじめているような場合はそれは司法の場で解決すべきでしょうが、それほどでもないという場合、つまり緊急性とか、悪質さが著しいとか、因果関係とか・・でもない限りは契約の自由・経営の自由と言えるのでは・・・。

野菜や魚にしても、旬のものが安いのは当たり前。

ちょっと旬が外れたものを買おうとしたら価格が高くなるのは日々の生活でも遭遇していることじゃないですか。

借家にしても商品なんですから、どんな条件をつけようが原則家主の自由ですし、それが気に入らないのなら契約をしなければいいのです。

更新料特約のない分、高価格に設定された家賃の割高な部屋を借りるか、

あるいは更新料特約があってもそれ込みでなおかつ割安感のある低家賃借家を探せばよいのです。(おそらく大抵の借家人はそのような考えで自分の支払える条件で入居しているはず。もし支払っていけないような更新料だったら契約はしていなかったと思います。)

 ・・・

この判決は、要するに家主にとって通常損耗のリフォーム費用は日々の賃料でカバーしなさい・・・ということのようです。

通常損耗のリフォーム費用を日々の賃料に上乗せして、高額な家賃設定でも入居者が見つかるとでもいう状況なら家主さんはみんなそうしているはずですよね。

恵まれた家賃で立派な官舎にお住まいの裁判官なんかは、通常損耗のリフォーム費用がどれくらいかかるか考えたこともないでしょうけどね。

大体、持ち家に住むより、賃貸の方が安く上がるなんて幻想に過ぎません。

住宅を建てる際は、賃貸だろうが持ち家だろうが建築代金は同じなんです。

極論すれば、これを住む期間に応じて借主に按分負担してもらうだけのことです。

が、

所有者ともなれば、

固定資産税修繕費に管理費は持ち出しになりますし、

銀行ローン利息火災保険も持ち出し。

空き室期間のリスクも当然発生します。

これらすべての費用となおかつ家主の収益分が加味されたものが本来の家賃になるのです。

普通に考えれば、賃借人と言うのは持ち家を買うより元から割高な価格にならざるを得ない家賃を支払わされている立場なのだということに気付いてほしいものです。

 ・・・

ホントに

借家問題担当の裁判官には研修として不動産賃貸事業の経営という体験授業を一度はしてもらいたいですね。

実際そんな低家賃だけで賃貸経営ができるものかどうか。

やってもらえばすぐ分かるはずです。

経営感覚の欠落した素人考え・・・これがすべてです。

おそらくこの判決のような考え方の人に賃貸経営を任せたら、あっという間に大損を出して経営破綻するでしょう。

過激なことを書きましたが、すべての司法書士がこの判決の信奉者であるかのような誤解を一般市民に与えてはいけないと思った次第です。

2009年8月 8日 (土)

借家の敷金は払わなければならないか

敷金問題は難しいですねー。

敷金特約を無効と考えるか、有効と考えるか・・・

我々司法書士の中にも意見が大きく分かれるところです。

まあ

たいてい、借家を他人に貸してひどい目に遭ったことのある司法書士さんは、たいてい敷金特約賛成派で、

借家経営に縁の無いような司法書士さんや弁護士さんは、敷金は無効であるべきだと強硬な反対派になる傾向があります。

立場が変わればものの見方も変わるということのいい例でしょう。

 ・・・

ウチの場合は節操がないと言われるかもしれませんが、時には賛成派の擁護をしますし、反対派に付くこともあります。

マタグラ膏薬と言われようと何と言われようとこれが我々の仕事ですからねー。

 ・・・

今、ある借家オーナーさんから建物明渡しの相談を受けています。

賃料延滞がもう何年も続いていて消滅時効にかかる寸前まで来ているとのこと。

賃料請求は簡裁訴訟の範囲外ですが、

明け渡し請求の方は建物が古いため簡裁訴訟に収まります。

ま、どちらにせよ双方の請求をするしかないのでしょうけど。

問題は、

明渡しの強制執行に莫大なお金がかかる点です。

こんなボロ家の明渡しなんだから安く済むだろう・・・なーんて軽く考えておられるとしたらちょっとまずい事になります。

普通賃料の延滞が始まっても敷金を多めに預かっているような場合は相殺できますからついつい甘く見てしまうんでしょうね。

相殺できる敷金も底を突いたとなってから我々に相談が回ってきます。

うーーーーーん

もうちょっと早いうちに言ってくれれば・・・なーんてことはしょっちゅうです。

明渡し費用が『万一断行まで行ったとなると、100万円はかかりますよ。』と言ったとたん相談者は腰を抜かさんばかりで驚かれます。

明け渡し断行は早い話が『全部お任せコースのお引越し』みたいなものですからねー。

業者がトラックから人からダンボールまですべて用意してくれ廃棄処分までやってくれますから。

普通の引越しなら小間物は自分で箱詰めしたりもできますけど、断行となると手出しは出来ません。せめて現地保管させてもらって自分でせっせと箱詰めするのが関の山です。

荷物の搬送にきれいな荷物も汚い荷物も関係ありませんよね。

重さでナンボ

大きさでナンボ

 ・・・

つまりこういうことがあるから

初めに敷金を何か月分か預かっておきたいと思うのは貸主としては当然の感情なんですよねー。

これを頭から一円たりとも敷金名目で家賃以外の報酬を受け取ってはならない・・・なーんてどういう発想がそうさせるんでしょう。

ボランティアで貸家業をやっているんじゃありませんしね。

もし敷金を完全に禁止するのなら明渡し費用については政府がそれなりにバックアップなり資金援助してくれるか、あるいはそのための保険制度なんかを作って欲しいものです。

あ、

知らない間に大家さんの味方をしていますねー・・。(反省)

ウチは私個人の思想信条はともかく仕事としては敷金返還訴訟も致しますよー

・・・って遅いかも。

2009年4月21日 (火)

司法書士の本人訴訟 そのメリット

今日は、原告側の一般訴訟(本人訴訟)の弁論期日でした。

詳しい内容が書けないのが残念ですが、ウチは、過払い訴訟の専門バカじゃないというところを強調しておきたいので少し本人訴訟について書きます。

以前ブログにも書きましたが、当事務所では、一般民事の本人訴訟もずいぶん相談に乗らせていただいております。

当方は、なにせ簡裁代理権の話が出る以前から、裁判書類作成業務の一環として本人訴訟も来るもの拒まずの精神で積極果敢に受任して来ましたので、本人訴訟は決して嫌いではありません。

本来、簡裁代理権の範囲を超える訴訟相談は弁護士さんの領域ではありますが、ただ、相談者の中には過去に弁護士さんに相談した際に、あまりにも威圧的な対応をされたり、冷淡な対応を受けたりして弁護士アレルギーになったという人や、弁護士さんから高額な弁護士報酬を請求されコワくなってついつい身近な我々司法書士に意見を求めて来られるケースもあります。

もちろん簡裁事物管轄を超えていたとしても裁判書類作成は我々の立派な業務ですから内容次第では本人訴訟と言う選択になることもあります。

我々としても素人さん相手に相談内容が簡裁代理の範囲内かどうかよく考えてから相談にお越し下さいというわけにも行かず、(もちろんそうしていただければ一番有難いのですが。。)、話は聞いてみないと分からないという側面もあって結果的に簡裁事物管轄を超えていたと言うケースもあります。

それでは、どんなケースの場合、司法書士の本人訴訟支援サービスが適しているのでしょうか。

 ・・・

【本人訴訟に適した事案とは】

最も本人訴訟に適しているのは、勝訴して当然だというような訴訟の相談です。

どうしても債務名義を取っておきたいのだけれども、わざわざ弁護士さんに依頼しなくてもなんとかなりそうなケースというのがあります。

例えば

①書証も完全に揃っているケース

②相手が認めているか、出頭して来ないことが明白なケース

です。

弁護士さんに依頼すると多少の難度が弁護士報酬に影響することもあるでしょうが、基本的には訴額の何%と言う風に画一的に決められてしまいます。99%勝訴の見込みがある場合も五分五分だと思われるようなケースでも基本的に報酬額は大差ありません。

司法書士による本人訴訟支援サービスの場合は、司法書士さんの考え方にもよりますので中には弁護士さんのように訴額の何%という考え方の人もいるかもしれませんが、少なくともウチの場合は、昔ながらの、原則、書類作成費用という報酬計算(早い話が一枚いくらという計算方法です。)をしますので、書証が少なければ少ないほど、期日の回数が少なければ少ないほど費用は安く上がるということになります。

ですので、

①②のように勝訴の見込みが相当大きい場合は、我々司法書士に訴状などの作成を依頼して本人訴訟の形を取るのが訴訟経済上、リーズナブルな選択だと言えるかも知れません。

 ・・・

反対に我々としてはあまりやりたくないのが敗訴の可能性が濃い本人訴訟の相談です。

大体こういうケースでは依頼者から負けても構わないから訴訟を起こしてほしいと言われたりしますけどね。

直接証拠に乏しく、あれやこれやの間接証拠を寄せ集めてするしかない訴訟です。

こんな場合でも和解に持ち込めそうなケースであれば問題はないのですが、そうでない限りはたいてい敗訴になるしかありません。

何を隠そう私の記念すべき簡裁代理訴訟第一号事件は痴漢行為の加害者からの慰謝料減額調停でした。

結果は、調停は成立したものの内容は完敗でした。

相談者の方には本当に申し訳ない結果となってしまった事件でしたが、損して得取れという諺もある通り、形式的には負けましたが大きな視野ではそれも止むを得ない結果でした。これも詳細は明らかには出来ませんが、負けて勝つという選択肢もあるということです。

話がそれましたね。

元に戻って、それで仮に裁判で負けたとして相談者に本心から納得していただけるのなら受任もしますが、

そうは口で言っていても本音では負けたくないと思っておられるような相談者の方にはケースによっては丁重にお断りさせていただくこともあります。

やっぱり司法書士に依頼したから負けたのだ・・・なんて言われるのもシャクですしね。

 ・・・

民事裁判は書証がすべてと言っても過言ではありませんから、

代理人の腕前や書面の出来不出来で勝ち負けが決まるというのはレアーなケースだと思いますよ。よほどまずい書面を作らない限り。。

ですので

書証さえ揃っていれば相手側にどんなに優秀な弁護士さんが就こうと全然気にする必要もありません。

よく要件事実がどうだ・・なんて言われますが、普通に一般的な国語力・作文力があれば十分です。

重要な要件事実が抜けていたらアウトだ・・なーんて民訴関係の学者さんが言われますが、裁判の現場感覚からすればそういうことで請求が却下されるのもレアーなケースだという気がします。

 ・・・

もっとも、見通しが五分五分のケースであっても、あるいは勝訴が間違いないケースであっても、場合によっては弁護士さんに依頼されるよう薦めることもないわけではありません。

本人訴訟は字のごとく本人が裁判所に出頭してする訴訟形態ですから、本人の健康が優れないとか、出頭するだけの体力すらないとか、裁判官との会話のキャッチボールがムリだろうと思われる方の場合は、弁護士さんに依頼するしかありませんものね。

その他、税法関係だとか、特許関係だとか、その他知的財産や無形財産なんかは専門的過ぎるのでウチでは受けられません。

行政訴訟や憲法訴訟なんかもウチでは受けておりません。

もっとも、こんな相談が司法書士事務所に持ち込まれることはまずありませんが。。

2007年7月15日 (日)

離婚

いよいよ来年度からは年金分割支給制度が始まります。

これに伴い、熟年離婚が増えることが予想されています。

離婚と言っても、内容は様々です。

ここでは実務の現場から一応離婚を考えておられる方のためにその大まかなご案内をしたいと思います。

【離婚の仕方】

1.協議離婚

 これは、当事者双方の話し合いによって合意する方法です。

口頭の合意も有効ですし、合意内容や形式も特に定まったものはありません。

『離婚しましょうか。』との申出に対して、『はい、そうします。』と返答すれば、

これだけで離婚の合意は成立します。

但し、形式要件として、離婚届を提出しないと効力は生じません。

(協議離婚のメリット)

○費用がほとんどかからない。

○他人に話し合いの状況を知られずに済む。

(協議離婚のデメリット)

○夫婦のどちらかが話し合いに応じない場合、協議そのものが不可能。

○夫婦間で交渉能力に差がある場合、公平な解決が期待できなくなる。

○解決しておくべき問題が残っていると後々トラブルとなる。

○金銭の支払いを伴う場合、口頭だと証拠が残らないので後々履行請求が困難になる。

2.裁判離婚

 当事者間で協議できない場合に、裁判所に離婚を申し出るものです。

家裁における離婚裁判は、調停前置き主義となっていますので、いきなり裁判に入るのではなく、まず、調停という手続きを踏まなければなりません。

ですから、まず家庭裁判所離婚調停の申し立てをし、そこで調停委員を交えて話し合いをすることから始まります。

申立用紙は、家裁窓口においてあります。

申立費用は、貼付印紙が1200円、予納切手が800円です。

調停が成立すれば、離婚が成立します。

但し、その後、離婚届をする必要があります。

調停が不成立となった場合は、引き続き家裁にて離婚の審判手続きに移行し、裁判官による審判が下されることになります。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

裁判離婚のメリット

○調停委員が仲裁に入ってくれるので一方的に不利になる結果にはならない。(必ずしもそうとは限りませんが。)

○調停調書が作成されるので文書として残る。離婚後の履行請求が楽になる。(必ずしもそうとは言い切れませんが。)

○他人が入ることで根も葉もない主張は制止される。(必ずしもそうとは限りません。)

裁判離婚のデメリット

○調停委員が仲裁に入ってくれるが、必ずしも自分の味方になってくれるとは限らない。調停委員には過大な期待は禁物。

○調停委員のチェンジは請求できない。調停委員と気が合わない場合は最悪の流れになる。

○金銭関係の話し合いになると、収入資産負債その他資料の提出を求められる。但し、審判ではないため、資料を出したからといって調停委員はそれに拘束されるわけではない。

○調停委員の能力にもよるが、一方的な解決を持ち出されることがないとはいえない。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

【スムースな解決方法とは】

よく双方で話し合うことだと言われますが、それができるんなら離婚にはならないというのも事実です。幸いにして話し合いの機会があるのなら早期に我々専門家にご相談ください。

当事務所では、協議離婚をするための必要事項をお聞きして、一つ一つ解決の支援をお手伝い致します。最終的な合意がまとまれば、それを文書化して公正証書として残します。公正証書にしておけば万一離婚後養育費や慰謝料その他の不履行があった場合でも裁判手続きを経ることなく相手の財産に強制執行をかけることができます。

また、これまでは、月々の支払いが支払われなかった場合は、その都度強制執行手続きをする必要がありましたが、民事執行法の改正により、一度強制執行の申し立てをしておけばそれ以降の債務不履行については逐一強制執行の申し立てをすることなく随時取り立て可能となっています。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

離婚に際して検討しておくべき事項

【財産分与】 

夫婦が婚姻後に形成した夫婦共同財産は離婚時、これを清算しなければなりません。

基本的には夫と妻の持分は二分の一となります。

妻の側が専業主婦で無職であったとしても、持分として二分の一の請求ができます。但し、調停離婚ではそれが認められるかどうかは保証はありませんが。

なお、夫または妻が婚姻前から有していた財産(預貯金・不動産)などは対象外です。

分与の仕方は自由です。ローンがある場合や分割不可能な財産は時価評価して現物支給や代償金の支払いという形での財産分与も可能です。

夫婦の共有財産を確定するため、不動産であれば登記簿謄本や固定資産評価証明書・簡易鑑定書、自動車であれば登録証明書・価格査定書、その他株券や生命保険契約書・債権証書・預貯金通帳などが必要です。

(不動産で財産分与を行う場合)

たとえば夫名義の不動産を妻に財産分与する場合は、

妻の側には贈与税はかかりません。しかし、財産分与であることが立証できない場合は、妻の側に贈与税がかかって来ることもあります

これを回避するには財産分与であるということを立証しなければなりません。協議離婚の場合は、公正証書。調停離婚の場合は調停調書がそれに当たります。慌てて離婚協議書も作らずに不動産をもらったりすると後から多額の贈与税が課税されるので税務署とよく事前に相談してからにしましょう。但し、贈与税がかかる、かからない、いずれにせよ、不動産取得税はかかります

また、夫名義の不動産を妻名義に変更した場合は、夫の側には譲渡所得税がかかって来ます。最近は土地の下落で買ってから値段が上がるということもほとんどなくなりましたが、それよりずっと以前に購入した不動産であった場合は『購入価格と譲渡時点での物件時価の差額』が譲渡益になり、また親から相続した不動産であった場合は『相続時の諸経費(証拠がなければ譲渡時点での時価相当額の5%相当額になります。)と譲渡時点での時価相当額との差額』が譲渡益となり、それぞれ譲渡差益が発生したものとみなされ、この場合には、夫の側譲渡所得がかかって来る(妻の側ではありません。念のため。)という点にご注意下さい。税務署とよく事前に相談されることをお勧めします。

なお、その不動産が居住用物件であった場合には、直接妻に名義を移転するのではなく、第三者に売却してからその売買代金を妻に支払うようにすれば、譲渡所得の課税対象価格から3000万円までの居住用不動産の基礎控除制度が使えますので譲渡所得税はほとんどかからずに財産分与ができます。なお税制はコロコロ変わりますのでこの方法を検討される際は必ず事前に税務署で確認して下さい。

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【慰謝料】 

夫婦の相手方の不貞や暴行その他により他方が被った有形無形の精神的損害に対して認められる損害賠償金のことです。特に金額の相場といったものはありませんが、行為の程度、態様の程度、損害の大きさ、期間などから個々に判断して請求できます。

(不動産で慰謝料を支払う場合)

通常、損害賠償金や慰謝料名目で現金をもらった人には贈与税や所得税はかかりません。しかし、たとえば夫が慰謝料として自分名義の不動産を妻名義に変更した場合は、妻の側には贈与税がかかって来ます

これを回避するには慰謝料であるということを税務署に立証しなければなりません。協議離婚の場合は、公正証書。調停離婚の場合は調停調書がそれに当たります。慌てて離婚協議書も作らずに不動産をもらったりすると後から多額の贈与税が課税されるので税務署とよく事前に相談してからにしましょう。但し、いずれにせよ、不動産取得税はかかります

また、この場合、夫の側には譲渡所得税がかかって来るという点は、先の財産分与のケースと同じですので税務署とよく相談してからにしてください。

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【養育費】 

未成年の子がいる場合、通常は『子が18歳になるまでにかかる扶養費や学費など』を指します。

学費の中には、入学金・授業料・行事参加費用・クラブ活動費・その他学習塾の月謝も含まれます。

協議離婚の場合は、相場を気にせず自由に金額も内容も定めることができます。たとえば、子が20歳になるまで扶養費を支払うとしたり、22歳の大学を卒業するまで扶養費も学費も支払うなどと取り決めることなど自由です。

一方、調停離婚になると、東京や大阪など大都市圏での家裁においては養育費については、子の数・年齢・支払い義務者の年収によってランク分けされた一定の養育費算定一覧表が存在します。未成年の子については、普通科公立高校を卒業するまでの扶養費や学費はこの相場の中に組み込まれています。調停離婚の場においてはこの相場価格とかけ離れた主張をしてもなかなか認めてもらいにくいようです。

(養育費算定表と大学進学費用)

大学と言っても、学費の安い国公立大学もありますし、反対に私立系医科大学のように高額な学費がかかる場合もあります。大学進学費用については、両親の学歴に準ずる形でその学費の範囲内であれば認められて当然だというのが私の見解ですが、調停の場では難しいようです。

確かに親が医学部を出ているからといって子が当然に医学部に進学できるかどうかといえば100%の保証はありません。しかし親にそれなりの学歴や年収があったなら、今の時代ですから、もし離婚話が出ていなければ、おそらく自分の子にも大学に進学させたり。あるいはそのために早くからお受験をさせたり、予備校通いをさせたりするのが一般的ではないでしょうか。子供の養育費というのは、もし両親が離婚しなかったら受けられたであろう教育環境と同じレベルの養育を受ける権利があるというものです。

簡裁で使われる養育費算定一覧表は、いちいち面倒な将来の養育費を立証する手間が省けるという利点のあることは確かですが、一方でこれがあまりに杓子定規に適用されると現実とのギャップが出て来る恐れもあります。

ただ、いったん養育費についての合意や調停が成立した場合であっても、後日、実際に子が私立大学の医学部入試に合格したような場合、その時点で親の経済力からみて支払い可能であれば、再度、事情変更の原則により、養育費の増額請求ないし調停申立が可能です。

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【親権】 

実際に子の身上監護財産管理をする権利のことです。必ずしも養育費を負担する側が親権を取得できるとは限りません。調停離婚の場でも、両親の生活状況、未成年の子の状況、子の気持ちはどうか・・などを参考にして、個々に判定されます。

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【復氏】 

離婚後、婚姻によって氏を変更した夫婦の一方は、元の氏に戻ることができます。

この場合、元の実家の戸籍に戻ることもできますし、新たに自分の戸籍を設けることも可能です。

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【子の氏】 

離婚後も、子は原則として元の筆頭者の籍に入ったままとなります。実際に離婚して、たとえば妻の方が子の親権者となっても、妻が夫の籍から出た場合は、子は依然父親の籍に残ります。

この場合、子の氏の変更を家裁に申し立て、新たに子の入籍届けをする必要があります。

なおこの子は、成人後一年以内に元の氏に戻ることができます。

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【その他検討事項】 

子の養育費をもらう場合、振込口座は子の口座名義に振り込んでもらいましょう。

妻が離婚後、子を引き取った場合、母子家庭として児童手当・児童福祉手当てなどの地方自治体からの生活費支援制度が使えます。この場合、子の養育費が妻の口座に振り込まれていると、妻の収入としてみなされ、その結果、本来支給されるべき手当が減額されたり、打ち切られたりする可能性があります。

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2006年12月12日 (火)

敷金返還

敷金返還請求について

関西地方では、家賃の10か月分を敷金として家主に預けるのが通例です。そして、賃貸契約書には、借主が退去の際は、敷引と称して敷金の3割程度を返還しないものとする旨の文言が入っているのが普通です。

これに対して、関東地方では、敷金制度に代わって礼金という名目で1ヶ月から2ヶ月分の家賃相当額を家主に支払って入居するようになっています。礼金は返還されません。

○ところで、敷金返還請求と言う場合、次の二つのケースがあります。

1.借家契約に基づき、約定どおり敷引金を除く敷金の返還を請求するケース。

2.上記の請求に加え、消費者契約法により敷引特約の無効を主張して、敷引金を含む敷金全額の返還を請求するケース。

前者のケースは、当然返還請求をすることができます。

これに対して、後者の敷引き特約の効力については、まだ最高裁の判例が出ているわけではないので、結論から言えば、現時点では、返還請求できるともできないとも言えないというのが本当のところです。

○当職が借家人の代理人となって敷金返還請求訴訟をする際は、当然敷引き特約の無効も主張しますが、簡裁判事または民事調停委員の中には敷引き特約の有効性を認めようとする考え方が以前根強く残っているような印象です。

実際の訴訟でもなかなか敷引き特約の効力を真正面から判断されることが少なく、たいていは和解となり、敷金を折半する形で決着する方が多いというのが実情です。

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敷金返還トラブルの典型事例

悪質な家主が、賃貸契約終了時、通常損耗であろうと特別損耗であろうと、架空の工事代金を水増しして、さも正当な補修費用を要したかのような明細書を退去人に送りつけ、敷金を全く返還しないか、返還したとしてもわずかな精算金を振り込んで終わりというのが典型的な事例です。

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【借家人が賃貸終了後にすべきこと】

1.借家人としては、家財の搬出が終わったら、事後の室内の清掃、特に水回りの清掃をし、原状回復に努めます。

2.その後、できれば室内の様子を写真に取っておきます。入居時の時点で写真を取っておくと比較ができベターですが。駐輪スペースや入り口ドアなんかも清掃して写真に残しておきます。

3.家主にカギを返却する時点で必ず立会いを求めること。その際、特別損耗の箇所があれば指摘してもらうよう頼みます。立会い終了後、立会い確認書に双方が署名捺印します。立会い確認書は形式はどんな形でも構いません。特別損耗があれば、その部分を書き添えます。その箇所を写真に取っておくことをお勧めします。

4.退去後、家主から敷金清算金が振り込まれます。特別損耗工事代金の明細書が送られて来たらしばらく保管しておきましょう。明細書が送られてこない場合は、こちらから請求しましょう。

5.明細書に記載された工事内容が、通常損耗による損壊・汚損に対するものなのか、別損耗に対するものなのかよく確認します。

通常損耗とは入居者が居住するに当たって通常使用による損壊・汚損を言います。

特別損耗とは、入居者の通常使用では発生しないような損壊や汚損を指します。

通常損耗は原則として借家人が負担する義務はありませんので、敷金から差し引かれている場合は返還請求できます。

特別損耗は借家人の負担となりますので敷金から差し引かれていたとしても返還請求はできません。

もし不明な点があれば、直接電話して工事内容の明細書の不審な点を問いただしましょう。良心的な家主であれば誠実に答えてくれるはずです。曖昧な返事をしたり、業者に任せたから自分は知らないなどとトボケルような場合はかなり怪しい相手かと思われます。

6.賃貸契約を頼んだ仲介業者に間に入ってもらうという方法もありますが、業者はどちらかと言うと家主寄りですのであまり大きな期待はできないかもしれません。地元の宅建協に苦情を申し立てるという方法もありますが、これも同業者組合みたいな側面があるので大きな期待は無理というものです。

7.相手に誠意がないと判断した時

これ以上の交渉はやや専門領域に入ってきますので、直接交渉は避けて、早めに司法書士か弁護士に相談した方がいいでしょう。相談だけなら司法書士でも弁護士でも一万円もかからないはずです。自治体の無料法律相談に行くのもよいかと思われます。

なぜ自分でこれ以上の交渉をしない方がいいかと言うと、相手は言わば業者であり、そういう悪質なことをする者はこういう交渉に長けているからです。ああ言えばこう言い、こう言えばああ言う。相手は苦情のパターンを色々経験していますから話のはぐらかし方なんかは朝飯前なのです。

下手に相手と話し合ったりすると、その後、数万円が突然振り込まれたりして、あの時電話でこの金額でお互い和解したではないか・・などということにもなりかねません。

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敷引き特約について・・問題の所在

下級審の中には、敷引き特約の無効を認めたものがあります。賃貸借契約における賃料とはモノの使用に対する対価であり、借家契約における建物の使用に対する対価としては家賃がすべてであって、それ以外の如何なる名目であっても借家人に不利益な特約は消費者契約法の趣旨に照らし、これを無効であるという風に考えるようです。

ですので、通常損耗の補修費用は当然家賃の中から補填すべきだということになり、別途これを請求することは許されないこととなります。

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この問題を考える場合、関東と関西の住宅事情土地柄が異なる点にも配慮が必要です。関東のように借家需要が旺盛で、頻繁に借家人が入れ替わる地域なら敷金や敷引き特約などというややこしいことをせずに礼金で一発回答し、あとは家賃を高めに設定するということも可能かと思いますが、関西地方で家賃を高めに設定しようものなら借り手が見つかるはずもありません。それにまた、こうした敷引き特約そのものは慣習として広く行われてきたという歴史的事実も無視できません。

ですから、関西では、家主は、通常損耗の補修費用は最初から敷引き金で賄おうと考え貸しているという実態があります。その分家賃設定をやや低い目に設定しているわけです。通常損耗による補修代金を家賃から賄おうなどと考えている家主はおそらくはほぼ皆無でしょう。それならもっと家賃を高めにするはずです。ただし、そうするためにはお隣近所の家主さん全員がいっせいに家賃を増額しない限り、自分のところだけがそうしたいと思ってもなかなかできるものではありません。先の下級審判決はそこらあたりの家主側の心理への配慮に欠けているのではないかという気がします。

ところが、敷引特約の無効を認める考え方によれば、家主側の敷引き特約をした分家賃を下げているのだという主張に対して、借家契約は期間不定であって、家賃設定をする際に将来の家賃減額分がいくらになるかは予測不可能であるから、これを敷引金という名目で最初から定額で定めていることはおかしいというわけです。

しかし、この考えは借家契約が二年契約であったなら借家人は二年間確実にそこに住み続けるものだという機械的な発想だというしかありません。家主もわがままなら、借主もわがままです。一ヶ月住んだだけでやっぱりやーめたということもままあります。家主としてはたとえ少しでも長く住んでいてほしいと願っています。借家賃貸のような箱物商売は、空き室になれば収益率がそれだけ低下するしかないからです。そのため少しでも入居者を引き止めておく対策としてこの敷引き特約を定めているわけです。早く退去すれば敷引き金が無駄になると考えるからこそ入居者も一度契約した以上は少々のことでも我慢してそこに住んでくれるだろうということなわけです。

極端な話、二カ月ごとに借家人が入れ代わったら二ヶ月に一回ハウスクリーニングをすることになります。関東のように礼金として預かったお金なら通常損耗の補修に使えるのに、敷金としたばかりにそのすべてを返還しなくてはならないとしたら、家主は大損ということになります。家主というのは家賃がたとえ千円でも下がると大変心配します。ローンで立てたアパートなんかの場合はもっと深刻なことになるでしょう。にもかかわらず、それでも家賃の中からそのクリーニング費用を工面せよというのでは借家契約は事業ではなくボランティアになってしまうでしょう。先の下級審判決の考えは明らかに借家人保護に傾きすぎているのです。裁判官自身も官舎住まいだから借家人の気持ちに傾くのでしょうか。しかし公務員宿舎と民間賃貸住宅では比較検討すべきものが微妙に違うということもかんがえていただきたいと思います。

借家契約はほとんどが二年間の短期賃貸借になっています。家主としては、本来なら、二年おきに敷引き金をその都度もらいたいくらいなわけです。長く住めばそれだけ通常損耗の度合いも大きくなるのは物理的な事実ですから。何十年も経てば大修繕も待っています。これを再度更新するときに請求しないということはそれだけ家主のほうが大きなリスクを背負っていることになるのです。

敷引き制度は確かに超短期間の借家契約の場合、借家人には不利になり、向いていないのかも知れません。しかし、長期的に見ればこの制度は明らかに借家人に有利になって来るのです。要はこの問題は、期間不定期な借家契約のリスクをどこで線引きするかということに行き着きます。これはやはり非常に困難な問題だとしか言えません。

どこかの保険契約書のように虫眼鏡で見ないと判読できないような文字で敷引き特約を謳っている場合はもちろん返還しなければいけません。あるいは、関東から関西に転勤して来て敷金制度を知らない人には十分な説明と理解を得たうえでないと敷引き特約はしてはならないと考えます。が、そうでない限り、当事者は敷引き特約の存在を十分認識して契約を交わしているのであって、一概に消費者に不利なものと言えるかというとやや考えてしまいます。

消費者契約法が予想するように、業者が判断能力に欠ける素人に一方的に不利益を押し付けるような商売だとして、関西ではごく普通に行われている敷引特約がこれに当たるのかと言われるとこれも若干疑問が残ります。

また、付け加えると、先の下級審判決では、建物は年月とともに損耗していくのが当然だとの前提に立ち、古くなったものはそのまま次の人に貸せばよいではないかという発想です。家主にとっては大事な商売道具であることが理解できていない気がします。内装が痛んだ状態で次の人に貸すなんて考えられません。裁判官の官舎はどうかは知りませんが。。よく冗談で畳と○○は新しいほうが良いなどと言いますが、こと借家契約にあって畳や内装が新しいというのは物件案内するときのセールスポイントとしてはとても重要なことなのです。これは家主の立場になってみれば誰でも分かるはずです。

家主はその補修費用を定額制にすることで、長期的には補修費の面で大きく足が出るリスクを引き受けているのです。

家主は家賃とともに敷引き金をも借家契約の対価の一部として考えているのです。

借家新築物件も一度他人が住んでしまえば次の日は中古物件になります。築浅物件などという涙ぐましい呼び名があるのもこのせいです。

○当事務所のスタンス

ところで、お前はどちらの味方だと聞かれたら、私は家主・借家人どちらからの相談もお受けするつもりです。敷引き特約については、私には私なりの私見みたいなものはありますが、個人的見解と司法書士としての立場とは明確に線引きして考えますので、借家人・家主いずれの側の味方も致します。街の法律家としてはどちらからのニーズにも応えるべき職責があるからなんですね。

裁判費用 

金額的には、簡裁代理訴訟または小額訴訟の部類に入ります。この訴訟に要する費用としては司法書士手数料・交通費その他実費も含め、経済的利益の2割から3割程度を見ておいてください。

裁判にかかる期間

二ヶ月から三ヶ月あれば解決します。

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2006年11月30日 (木)

学納金返還

○先般の学納金返還請求訴訟に関する上告審において、最高裁小法廷は、入学金の返還請求を棄却しましたが、これは一切の入学金の返還を認めないという趣旨ではなく、たまたま今回のケースにおいてはいずれの大学も納付した入学金がその大学に入学することのできる権利としての対価として妥当な金額であったということなのでしょう。

しかし、この最高裁の判決内容による限りでは、これで入学金は果たして幾らまでなら返還請求が認められるか・・という判断基準が全く明らかにされておりません。すなわち入学金の対価を押し測る客観的合理的な判定基準にはなんら触れずに単に金額が妥当なものと言えるかどうかとしただけですから、誰が何を根拠にその金額の相当性を判断するのかが不明瞭なまま問題点として残された点が残念です。

敷金返還請求権についてはすでに下級審では対価性を認めない方向へ流れが動いているようですが、入学金の対価性に関しても、このような曖昧な理由付けで判断するしかないのであれば近い将来その対価性が否定されるのではないかという気がしています。入学金と敷金とを同一視するのも変ですが、入学金についても入学する際に大学側がいくらか預かっておき、卒業時には全額返還するというシステムを採用する大学があってもよいのでは。。

今後この判定基準を巡ってまだしばらくは入学金に関する学納金訴訟は続くでしょう。

○本訴訟で返還請求権の法的根拠となったのが、消費者契約法平成13年4月1日施行)です。

消費者契約法は、業者対消費者の間で交わされる契約すべて(但し、商品や役務で線引きあり。)に適用される法律で、主に実務能力や情報面で不利な立場にある消費者を保護する目的で平成13年に施行されたものです。

当事務所でもこの消費者契約法を使って敷金返還請求の簡裁訴訟を起こしたり、借家契約の無効の相談を受けたりしています。

この法律は、何にでも使えると言えばオーバーですが、消費者契約に関する適用範囲の広さでは他のどの法律よりも重宝なものと言えます。

先の最高裁判断基準が示した『入学金の額が相当なものといえるかどうか』という判断を巡って、今後、入学金返還請求訴訟をする余地はまだまだ残されたと言えます。

以下にこのような請求をするための手順を説明します。基本的には授業料返還請求と全く同じ手続きです。

○大学入学金の前納金返還請求の方法

ア、返還請求の対象物・・・・入学金

イ、時期的な制約・・・・消費者契約法施行日の平成13年4月以降に申し込みまたは納付したものに限られます。ですので平成13年3月中に納付した入学金の返還請求は認められません。

ウ、返還請求の手順

 (1)内容証明で返還請求する。         

 (2)支払い督促をする・・・・簡易裁判所

   または

 (3)訴訟を起こす・・・・請求額が60万以内の場合=小額訴訟

              請求額が60万を超え140万以下=簡裁訴訟

              請求額が140万を超える場合=地裁へ通常訴訟

  ◎通常大学の入学金は通常の学部では140万円以下ですので簡裁に訴訟を申し立てることになります。認定司法書士に依頼すれば、相談者に代わって代理人として簡裁訴訟をしてもらえます。

○当事務所では上記内容証明作成から訴訟手続きのすべてについて、書類作成・ご相談承っております。

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