いよいよ来年度からは年金分割支給制度が始まります。
これに伴い、熟年離婚が増えることが予想されています。
離婚と言っても、内容は様々です。
ここでは実務の現場から一応離婚を考えておられる方のためにその大まかなご案内をしたいと思います。
【離婚の仕方】
1.協議離婚
これは、当事者双方の話し合いによって合意する方法です。
口頭の合意も有効ですし、合意内容や形式も特に定まったものはありません。
『離婚しましょうか。』との申出に対して、『はい、そうします。』と返答すれば、
これだけで離婚の合意は成立します。
但し、形式要件として、離婚届を提出しないと効力は生じません。
(協議離婚のメリット)
○費用がほとんどかからない。
○他人に話し合いの状況を知られずに済む。
(協議離婚のデメリット)
○夫婦のどちらかが話し合いに応じない場合、協議そのものが不可能。
○夫婦間で交渉能力に差がある場合、公平な解決が期待できなくなる。
○解決しておくべき問題が残っていると後々トラブルとなる。
○金銭の支払いを伴う場合、口頭だと証拠が残らないので後々履行請求が困難になる。
2.裁判離婚
当事者間で協議できない場合に、裁判所に離婚を申し出るものです。
家裁における離婚裁判は、調停前置き主義となっていますので、いきなり裁判に入るのではなく、まず、調停という手続きを踏まなければなりません。
ですから、まず家庭裁判所に離婚調停の申し立てをし、そこで調停委員を交えて話し合いをすることから始まります。
申立用紙は、家裁窓口においてあります。
申立費用は、貼付印紙が1200円、予納切手が800円です。
調停が成立すれば、離婚が成立します。
但し、その後、離婚届をする必要があります。
調停が不成立となった場合は、引き続き家裁にて離婚の審判手続きに移行し、裁判官による審判が下されることになります。
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裁判離婚のメリット
○調停委員が仲裁に入ってくれるので一方的に不利になる結果にはならない。(必ずしもそうとは限りませんが。)
○調停調書が作成されるので文書として残る。離婚後の履行請求が楽になる。(必ずしもそうとは言い切れませんが。)
○他人が入ることで根も葉もない主張は制止される。(必ずしもそうとは限りません。)
裁判離婚のデメリット
○調停委員が仲裁に入ってくれるが、必ずしも自分の味方になってくれるとは限らない。調停委員には過大な期待は禁物。
○調停委員のチェンジは請求できない。調停委員と気が合わない場合は最悪の流れになる。
○金銭関係の話し合いになると、収入資産負債その他資料の提出を求められる。但し、審判ではないため、資料を出したからといって調停委員はそれに拘束されるわけではない。
○調停委員の能力にもよるが、一方的な解決を持ち出されることがないとはいえない。
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【スムースな解決方法とは】
よく双方で話し合うことだと言われますが、それができるんなら離婚にはならないというのも事実です。幸いにして話し合いの機会があるのなら早期に我々専門家にご相談ください。
当事務所では、協議離婚をするための必要事項をお聞きして、一つ一つ解決の支援をお手伝い致します。最終的な合意がまとまれば、それを文書化して公正証書として残します。公正証書にしておけば万一離婚後養育費や慰謝料その他の不履行があった場合でも裁判手続きを経ることなく相手の財産に強制執行をかけることができます。
また、これまでは、月々の支払いが支払われなかった場合は、その都度強制執行手続きをする必要がありましたが、民事執行法の改正により、一度強制執行の申し立てをしておけばそれ以降の債務不履行については逐一強制執行の申し立てをすることなく随時取り立て可能となっています。
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離婚に際して検討しておくべき事項
【財産分与】
夫婦が婚姻後に形成した夫婦共同財産は離婚時、これを清算しなければなりません。
基本的には夫と妻の持分は二分の一となります。
妻の側が専業主婦で無職であったとしても、持分として二分の一の請求ができます。但し、調停離婚ではそれが認められるかどうかは保証はありませんが。
なお、夫または妻が婚姻前から有していた財産(預貯金・不動産)などは対象外です。
分与の仕方は自由です。ローンがある場合や分割不可能な財産は時価評価して現物支給や代償金の支払いという形での財産分与も可能です。
夫婦の共有財産を確定するため、不動産であれば登記簿謄本や固定資産評価証明書・簡易鑑定書、自動車であれば登録証明書・価格査定書、その他株券や生命保険契約書・債権証書・預貯金通帳などが必要です。
(不動産で財産分与を行う場合)
たとえば夫名義の不動産を妻に財産分与する場合は、
妻の側には贈与税はかかりません。しかし、財産分与であることが立証できない場合は、妻の側に贈与税がかかって来ることもあります。
これを回避するには財産分与であるということを立証しなければなりません。協議離婚の場合は、公正証書。調停離婚の場合は調停調書がそれに当たります。慌てて離婚協議書も作らずに不動産をもらったりすると後から多額の贈与税が課税されるので税務署とよく事前に相談してからにしましょう。但し、贈与税がかかる、かからない、いずれにせよ、不動産取得税はかかります。
また、夫名義の不動産を妻名義に変更した場合は、夫の側には譲渡所得税がかかって来ます。最近は土地の下落で買ってから値段が上がるということもほとんどなくなりましたが、それよりずっと以前に購入した不動産であった場合は『購入価格と譲渡時点での物件時価の差額』が譲渡益になり、また親から相続した不動産であった場合は『相続時の諸経費(証拠がなければ譲渡時点での時価相当額の5%相当額になります。)と譲渡時点での時価相当額との差額』が譲渡益となり、それぞれ譲渡差益が発生したものとみなされ、この場合には、夫の側に譲渡所得税がかかって来る(妻の側ではありません。念のため。)という点にご注意下さい。税務署とよく事前に相談されることをお勧めします。
なお、その不動産が居住用物件であった場合には、直接妻に名義を移転するのではなく、第三者に売却してからその売買代金を妻に支払うようにすれば、譲渡所得の課税対象価格から3000万円までの居住用不動産の基礎控除制度が使えますので譲渡所得税はほとんどかからずに財産分与ができます。なお税制はコロコロ変わりますのでこの方法を検討される際は必ず事前に税務署で確認して下さい。
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【慰謝料】
夫婦の相手方の不貞や暴行その他により他方が被った有形無形の精神的損害に対して認められる損害賠償金のことです。特に金額の相場といったものはありませんが、行為の程度、態様の程度、損害の大きさ、期間などから個々に判断して請求できます。
(不動産で慰謝料を支払う場合)
通常、損害賠償金や慰謝料名目で現金をもらった人には贈与税や所得税はかかりません。しかし、たとえば夫が慰謝料として自分名義の不動産を妻名義に変更した場合は、妻の側には贈与税がかかって来ます。
これを回避するには慰謝料であるということを税務署に立証しなければなりません。協議離婚の場合は、公正証書。調停離婚の場合は調停調書がそれに当たります。慌てて離婚協議書も作らずに不動産をもらったりすると後から多額の贈与税が課税されるので税務署とよく事前に相談してからにしましょう。但し、いずれにせよ、不動産取得税はかかります。
また、この場合、夫の側には譲渡所得税がかかって来るという点は、先の財産分与のケースと同じですので税務署とよく相談してからにしてください。
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【養育費】
未成年の子がいる場合、通常は『子が18歳になるまでにかかる扶養費や学費など』を指します。
学費の中には、入学金・授業料・行事参加費用・クラブ活動費・その他学習塾の月謝も含まれます。
協議離婚の場合は、相場を気にせず自由に金額も内容も定めることができます。たとえば、子が20歳になるまで扶養費を支払うとしたり、22歳の大学を卒業するまで扶養費も学費も支払うなどと取り決めることなど自由です。
一方、調停離婚になると、東京や大阪など大都市圏での家裁においては養育費については、子の数・年齢・支払い義務者の年収によってランク分けされた一定の養育費算定一覧表が存在します。未成年の子については、普通科公立高校を卒業するまでの扶養費や学費はこの相場の中に組み込まれています。調停離婚の場においてはこの相場価格とかけ離れた主張をしてもなかなか認めてもらいにくいようです。
(養育費算定表と大学進学費用)
大学と言っても、学費の安い国公立大学もありますし、反対に私立系医科大学のように高額な学費がかかる場合もあります。大学進学費用については、両親の学歴に準ずる形でその学費の範囲内であれば認められて当然だというのが私の見解ですが、調停の場では難しいようです。
確かに親が医学部を出ているからといって子が当然に医学部に進学できるかどうかといえば100%の保証はありません。しかし親にそれなりの学歴や年収があったなら、今の時代ですから、もし離婚話が出ていなければ、おそらく自分の子にも大学に進学させたり。あるいはそのために早くからお受験をさせたり、予備校通いをさせたりするのが一般的ではないでしょうか。子供の養育費というのは、もし両親が離婚しなかったら受けられたであろう教育環境と同じレベルの養育を受ける権利があるというものです。
簡裁で使われる養育費算定一覧表は、いちいち面倒な将来の養育費を立証する手間が省けるという利点のあることは確かですが、一方でこれがあまりに杓子定規に適用されると現実とのギャップが出て来る恐れもあります。
ただ、いったん養育費についての合意や調停が成立した場合であっても、後日、実際に子が私立大学の医学部入試に合格したような場合、その時点で親の経済力からみて支払い可能であれば、再度、事情変更の原則により、養育費の増額請求ないし調停申立が可能です。
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【親権】
実際に子の身上監護・財産管理をする権利のことです。必ずしも養育費を負担する側が親権を取得できるとは限りません。調停離婚の場でも、両親の生活状況、未成年の子の状況、子の気持ちはどうか・・などを参考にして、個々に判定されます。
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【復氏】
離婚後、婚姻によって氏を変更した夫婦の一方は、元の氏に戻ることができます。
この場合、元の実家の戸籍に戻ることもできますし、新たに自分の戸籍を設けることも可能です。
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【子の氏】
離婚後も、子は原則として元の筆頭者の籍に入ったままとなります。実際に離婚して、たとえば妻の方が子の親権者となっても、妻が夫の籍から出た場合は、子は依然父親の籍に残ります。
この場合、子の氏の変更を家裁に申し立て、新たに子の入籍届けをする必要があります。
なおこの子は、成人後一年以内に元の氏に戻ることができます。
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【その他検討事項】
子の養育費をもらう場合、振込口座は子の口座名義に振り込んでもらいましょう。
妻が離婚後、子を引き取った場合、母子家庭として児童手当・児童福祉手当てなどの地方自治体からの生活費支援制度が使えます。この場合、子の養育費が妻の口座に振り込まれていると、妻の収入としてみなされ、その結果、本来支給されるべき手当が減額されたり、打ち切られたりする可能性があります。