2009年4月20日 (月)

利益相反・・債務者変更と極度増額登記

【A社所有物件の根抵当権の債務者をA社からB社に債務者変更して極度増額をする場合】  

A社B社はいずれも取締役一名の非取締役会設置会社

なおかつ代表者が同一人物!

ってことは、これは明らかに利益相反取引に当たります。

 ・・・

こんな場合の登記申請には、第三者の承諾書が要ります。

ところで、この場合の第三者の承諾書と言うのは・・・

そう

この場合のA社B社はいずれも非取締役会設置会社ですから取締役会は開催できません。

つまり

こんな場合は会社法の本則に則って、株主総会を開催します。

したがって

利益相反取引承認の承諾書面というのは、A社の株主総会決議の議事録を添付するということになります。

 ・・・

ところで

代表者が同一人物というのが引っ掛かりますが、

誰が総会を開催し、議長となるかと言えば、この場合はA社B社はいずれも代取が行うことができます。

というのも、今回の利益相反関係は法人間において利害が対立するだけのことで、

代表者は個人的には何のご利益にも預かれないため、利害関係者には該当しないという解釈なのです。

なので

今回は、A社の代取が総会議事録に署名捺印したものに、A社の印鑑証明書・履歴事項証明書を添付したものが承諾書になります。

2009年4月10日 (金)

財形転貸融資の抵当権抹消登記実務

不動産登記で一番多いのが抵当権抹消登記です。

今年は、バブル全盛時から数えて20年目の節目に当たります。

当時20年ローンで住宅を購入された方には待ちに待った完済の日がやって来ます。

こころよりおめでとうございますと言わせていただきたいと思います。

さて

この抵当権抹消登記

これまで登記の中では一番簡単な部類に入っていました。(過去形ですよ!)

いわば不動産登記の入門版みたいな。。

なので

司法書士に依頼せずにご自分で済まされる方も多くおられました。

あ、だからと言って

『不動産登記なんて簡単だよ・・・』なーんて思わないでくださいね。

 ・・・

実は今登記の素人さんにとってはこの抵当権抹消登記の難易度が上がって来ています。

これまでみたいに法務局に行って、登記官上がりの一般の人相手専門の相談員の方に教えてもらいながら済ますというケースが少なくなって来たんじゃないでしょうか。

その理由

①銀行合併が相次いだため抵当権の合併移転登記が前提として必要になっている点

②登記原因証明情報の登場によりいい加減な解除証書では登記申請が却下されてしまうこともある点

なんです。

 ・・・

まず①についてですが、

抵当権の移転登記申請をするには民間銀行の場合には登録免許税として債権額の千分の1がかかります。

『ウチは完済しているから実際の債権額はゼロなんだから登録免許税もゼロのはずだー!』

なーんて駄々をこねてもダメですよー。

当初借入金額が2000万円の人は2万円の登録免許税。

同じく借入金額が3000万円の人は3万円の登録免許税

・・・が当然にかかります。

払わなきゃどうなるかと言うと、抵当権移転登記は却下され、抵当権抹消登記が永遠にできなくなるだけ・・です。

 ・・・

抵当権合併移転登記に要する費用負担はどうなるか?

この登録免許税は最終的には当該銀行が負担してはくれますが、後日振込みとなりますので、この間はとりあえずは自分で立て替えるしかありません。

ホントに立て替えた登録免許税が返って来るんだろうか・・・。

私たち司法書士も結構この手の立替えはするんですが、全く面識のない金融機関だったりすると結構不安になったりしますよね。

『なんでローンを完済したというのに余計な立替金がかかるんだ!』

とか

『なんで銀行が担保抹消費用くらいサービスしてくれないんだ!』

とか

言いたくなる気持ちも分からないでもありませんが、

なんと言ってもこればかりは仕方ないというしかありません。残念ながら。。。

逆に、たまに銀行の若い担当者が、ローン完済されたお客さんからクレームが付いて『お前のところが抹消費用を負担しろっ!』と言われて困っていると、真っ青になってウチに相談に来られたりしますけど。。

最初の抵当権設定契約書をよく読めば、どこの金融機関の契約書にも必ず小さな文字で『登記費用はすべて借主の負担とする』旨の約款が印刷されていますから最初から勝負はあったというものです。

 ・・・

そもそも抵当権設定登記と言うのは貸し出す金融機関のリスク保全のためのものなんですから、本来なら金融機関が負担して当然なんです。

ですが、

そこは力の強弱が働きます。

借りる側の立場からはお前のところが負担しろよ・・・なーんて言える筈がありませんものねー。

ということは、これとは反対に、抵当権を抹消する登記のメリットはこれは明らかに所有者側にありますから抹消登記費用は本人が負担すべきものだと言えます。

 ・・・

ちなみに

住宅金融公庫も今は名前が変わってしまい特別法によってこちらは非課税ですがやはり抹消登記の前提として抵当権移転登記をする必要があります。

 ・・・

ご自分でこれらの登記に挑戦なさるのもいいですが、下手して書面に誤記なんかした日には書面のもらい直しということにもなりかねません。

書面のもらい直しとなると、おそらく無料で対応してくれるだろうとは思いますが、中には手数料を請求するところもあるので注意してください。

特に資格証明は有効期限がありますからモタモタしていて期限が過ぎると資格証明のもらい直しとか、ひどい場合は代表者が交代していて委任状からもらい直しということにもなりかねません。

ローンが終わってからこんなことのお願いをしに金融機関に行くのも気が引けるでしょうし、また窓口はたいていは支店窓口でも処理してくれるでしょうけど、ローンセンター経由でと言われ、振り回されたりすることもあります。あまり良い応対は期待しない方が無難でしょう。

 ・・・

そして厄介なのが②の理由

一昔前までは申請書副本という便利な制度があって

解除証書や弁済証書なんかなくても銀行の委任状があれば担保抹消登記がやれたんです。

登記原因なんかはなんでもオーケー。

これが原因で誰も文句は言わなかったし。。

ところが

ところが

今や登記申請にはすべて登記原因証書の添付が義務付けられました。

何が厄介なのかと言うと、

この登記原因証明情報は公文書になりますからいい加減なことを書くと公文書偽造罪という非常に重い刑罰が科せられるからなんですね。

今までは抹消原因が解除だろうが弁済だろうが、多少実体関係と相違があっても、末梢さえできればオーケー、なんでもオーケーみたいな世界だったのですが、登記原因証明情報になると、より正確な抹消原因を確認する必要が出てきます。

なんで

こんなことを書くかと言うと、

従前の紙ベースの登記申請時代の書式をそのまま原因情報代わりにしている部署が未だに結構あるからなんです。

金融機関の中にも旧態然とした契約書を使っているところもありますよ。

ましてや

サラリーマン御用達の財形転貸融資なんかですと、以前はわりと大きな上場企業がよくやっていたのですが、最近はめったにやらなくなったせいもあって、依頼者が持参される書面を見ると、これはいったい何年前の解除証書???と思うような代物に遭遇したりします。

登記のプロとしてはいい加減な登記原因で登記申請もできませんものね。

財形転貸融資の場合、『保証契約による求償債権』を被担保債権とする抵当権が設定されます。

この場合の貸主というのは、これもまた財形融資と言ってもいろいろなタイプがあって、一概には言えないのですが、一番ポピュラーなのはやはり都市銀行でしょうか。

つまり、都銀から本人がローンを組み、所属会社が連帯保証をしているケースですね。

こんな場合、

会社の担当部署としては、会社が銀行から資金を借り受け、これを社員に貸し出し、ローン返済は、会社が社員の給料から天引きして都銀に返済していくわけですが、会社部署の人としては、会社が返済を受けているという感覚でおられる方が結構多いようです。

が、会社がやっているのはもっぱら社員さんの住宅ローンの保証業務に過ぎません。

この住宅ローンが完済されると、

抵当権抹消登記をするには、登記原因として『主債務消滅』と言う文言が記載された登記原因証明情報の作成が必要となります。

必要となりますというのは、これまでは弁済証書だとか解除証書だとかを使って、こんなケースでも割りといい加減に解除か放棄を登記原因にして抹消登記をやっていたのですが、よくよく考えてみれば、ローンが完済されれば、すなわち主たる債務が消滅してしまっているのですから抵当権が存続しているはずがありません。存続していないということは消滅してしまっている・・ということですから、この抵当権を今さら放棄解除もないでしょう。ましてや、保証会社が弁済を受けたのではありませんから『弁済』を登記原因にするのはおかしいということになります。

抵当権の附従性という性質から抵当権は主債務の弁済によって当然に消滅しているはずなんですね。

ですので

消えてなくなった抵当権を今さら解除したり、放棄したりもないじゃないですか・・・ということです。

面倒くさいからと言ってこれを解除だとか放棄で登記してしまったりすると登記は通るけれども虚偽の登記申請ということにもなりかねません。

つまり財形転貸形式の住宅ローンを完済された場合の抹消登記原因としては主債務消滅・・・これしかないのです。

 ・・・

と、まあ大体この結論に至る経緯の趣旨は良く分かるのですが、

だからどうなるかと言うと、

お客さんが事務所に持参された原因書面に万一主債務消滅と言う文言が入っていなかったら、再度こちらにて登記原因証明情報を作成して債権者の捺印をもらいなおしていただかざるを得なくなるということになります。

しかも

財形融資の場合、『保証契約による求償債権』を被担保債権とする抵当権が一般的ですから、登記簿からは主種債務の債権者が誰なのか・・・というのは雲を掴むような話です。

その辺から事実聴取して登記原因証明情報の作成をし、債権者の捺印をいただかなくてはなりません。

またそれを作成したところで当該財形融資の窓口担当者になぜ従来の原因証書ではダメなのかを説明しなければ協力してもくれないでしょう。

せっかく住宅ローンとおさらばできるとルンルン気分のお客さんの気分を損ねさせるのには十分な問題ですよねー。

私だってこんなことやりたくないです。

でも

登記が通らない

真正な登記をするのが我々の職責だとしたらお客さんに嫌われても説明する義務はあるというところでしょうか。

2009年4月 8日 (水)

保存登記のオンライン申請減税要件が今月から変わりました!

昨日、懇意にさせていただいている土地家屋調査士さんが来られ、しばし登記談義。

話題は土地家屋調査士さんのオンライン申請の普及率の低さ

司法書士の場合、登記申請に貼る印紙代(登録免許税)というのは、結構高額で、数百万円分の印紙を貼る場合も珍しくありません。

そのため現在オンライン申請をした場合のインセンティブとして、登録免許税の一割の減税が認められています。(この減税措置は、保存・移転・設定・極増などの登記に限られ、しかも上限は5千円までとされていますが。。)

それに比べ、土地家屋調査士さんの場合、申請するのは表示登記であり、この登記申請に要する登録免許税は、そもそも一筆千円で計算しますので、2・3件連件で表示登記申請したとしてもせいぜい数千円程度しかかからないんですね。

なので

表示登記申請においては今のところオンライン申請をした場合のインセンティブは何もないんです。

だからというわけでもないでしょうが、土地家屋調査士さんとしては、何のメリットもないのにわざわざ図面をPDF化してオンライン申請なんかやってられない・・・という現状なのだそうです。

が、敵も然る者(あ、失礼!)

法務省はこのたび司法書士がこれまでオンライン申請でやった場合の保存登記の登録免許税の一割減税という特典に対して、さらにその要件を絞り込んできました。

つまり

保存登記のオンライン申請でインセンティブ減税が認められるには、前提としての表示登記についてもオンライン申請されていなければダメですよ・・・というもの。

要するに、司法書士から土地家屋調査士さんに表示登記のオンライン申請をするよう圧力を掛けなさい・・・ということなんでしょうか。

ま、確かに司法書士の方はそれで依頼者に対してはいい顔ができますが、

土地家屋調査士さんの方はたまったもんじゃないでしょうねー。

何のメリットもないのに手間隙だけがかさむんです。

 ・・・

大体司法書士ですら面倒だからと言う理由でオンライン申請をしていないところが大半でしょう。

出頭申請すれば、確かに交通費や日当がかかりますが、市内の申請であればその金額もたいしたものじゃありません。

オンライン申請をする場合は交通費が要らない代わりに、パソコンと複合機が必要不可欠になりますし、またそのためのプロバイダー契約やクレジット決済契約も必要です。しかも、登記申請に添付する書類(権利証など)は後日書留郵便で送付しないといけませんから郵送料がかかります。普通郵便では送れないような重要書類ばかりですから高く付くんですよ!!

これらの維持管理郵送費を考えると出頭申請した場合にかかる費用と大差ないような気がします。

 ・・・

これまで何度も書いて来ましたが、

初めにオンライン申請ありき・・・の話なんですよね。

なんでオンライン申請を推進するか?

と言う部分が全く見えて来ません。

登記所を統廃合して登記所職員を合理化するため?

いえ

今の半ライン申請方式では登記所職員の方の負担は決して減ってはいないように思います。

制度改革と言うのは現状より便利になってこそ改革と言えるのであって、使いにくくなっただけの制度改革なんて国民にそっぽを向かれるに決まっています。

 ・・・

蛇足ですが、

そう言えば、最近のテレビや携帯電話の機能も複雑高度化する一方です。

オンライン申請制度がこれらに共通しているのは、機能を重視するあまり、利用者から見た使い勝手の良さというか、便利さというものの視点が欠けている点じゃないでしょうか。

あ、また今回もマニアックなテーマになってしまいました(反省)。

2009年4月 7日 (火)

抵当権と根抵当権:債務者の相続

抵当権と根抵当権、似ているようで違います。

今日はこの話を。。

現在、受託しているのが根抵当権債務者の相続。

根抵当権登記がそのままで放置されて相続開始から6ヶ月経っています。

ということは、元本確定しているということになります。

とりあえず複数いる相続人のうちAさんが債務を引き継ぐことになりました。

さて、こういうケースではどんな登記をしなければならないでしょうか。。

まず抵当権のケースから見てみましょう。

 ・・・

【債務者の相続・・・抵当権の場合】

①債務者の変更登記をします。

(1)一番簡単な債務者変更登記手続き

  まず相続人全員で遺産分割協議をして被担保債務を誰が引き継ぐか決めます。

新債務者が決まるとそれを抵当権者(銀行など)に伝え、承認してもらいます。

登記に添付する登記原因証明情報には債務者変更に関する内容を記載して、抵当権者と設定者が署名捺印します。設定者のみの署名捺印だけでも構いません。

  いきなりAさんを新債務者とする債務者変更登記ができてしまうのが抵当権の特徴です。登記原因は『年月日相続』となります。

(2)遺産分割協議が整わない場合

  こんな場合はやむを得ず相続人全員が新債務者となって各々相続する割合に応じて被担保債務を引き継ぐしかありません。

  登記に添付する登記原因証明情報には債務者変更に関する内容を記載して、抵当権者と設定者が署名捺印します。設定者のみの署名捺印だけでも構いません。

  もっとも遺産分割協議が整わない場合は、所有権の甲区欄も決まらない場合がほとんどでしょうからその場合は債務者変更の登記そのものができなくなります。

  但し、いつまでも揉めていても新債務者や相続人が決まらずにモタモタしていると当然その間はローンの返済が遅延しているわけですから、抵当権者から担保権の実行を申し立てられたりしますので身内争いもほどほどにしないといけません。

免責的債務引受けの登記

  相続人全員がいったん新債務者となった後で、そのうちの一人が代表してその債務を引き受けることがはっきりしたら今度は免責的債務引き受けの登記をします。

  もっとも抵当権の場合は①の方法が簡便ですのでここまで回りくどい登記をするのは稀ですが。。

 ・・・

 次は、根抵当権のケースです。

 ・・・

【債務者の相続・・・根抵当権の場合】

根抵当権の場合は若干複雑です。

相続人全員を債務者とする債務者変更登記をします。

(1)この場合の登記原因証明情報とは?

  相続登記に添付する相続関係図がこれに当たります。もちろん除籍戸籍謄本一式は提出する必要があります。

  なお、申請書記載の事実を書いて相続人全員がそれに署名捺印した書面も登記原因証明情報として使用できます。

②相続開始から6ヶ月以内に指定債務者の合意の登記をします。

 ・・・

①②の登記がなされないまま6ヶ月を経過してしまったら・・・

まずこんな場合は根抵当権が担保すべき元本は確定してしまいます。

元本確定の時期は、相続開始時点にさかのぼります。

すなわち、根抵当権が担保していた被担保債務は、相続の発生と同時に元本が確定してしまうのです。

 ・・・

こんな場合は元本確定の登記をすべきでしょうか。。。

(結構マニアックな意地悪質問ですが。。)

結論を言うと、元本確定登記はしてもよいし、しなくてもよい・・・というのが正解です。

その理由は、債務者が死亡しているのですからいずれ誰かがこの債務を引き継がなくてはならないわけです。この場合、元本確定のみの登記だけをしてもあまり意味がありませんよね。で、後日、債務者変更登記が出れば、乙区欄には債務者の死亡の事実と相続開始時期が公示されますから相続開始から6ヶ月経過していれば登記簿を見るだけで元本が確定しているかどうか判別できるというわけです。

もっとも民法の規定自体、相続開始から6ヶ月経過して指定債務者の合意登記がなされていないときは相続開始したときに元本が確定したものとみなす・・と謳っていますからわざわざ登記をするまでもないのだ・・ということです。

 ・・・

指定債務者の合意の登記

  次に、①の登記後、相続人全員と根抵当権者の共同申請によって指定債務者の合意の登記をします。これは相続人全員のうち誰がこの債務を引き受けるかが決まっている場合にこの登記をします。

  根抵当権者の承諾が必要なことはもちろんです。

  この登記は相続開始から6ヶ月以内にしないと元本が確定することは先に述べたとおりです。

  この場合の登記原因証明情報は登記申請書記載事項を記載したものに設定者が署名捺印したものだけで済みます。

 ・・・

③6ヶ月が経過したため、元本が確定してしまった場合は、債務者の変更はどうするか?

(1)相続人全員を債務者とする債務者変更登記

  この登記はいずれにせよしないといけません。

  いったん相続人全員が新債務者となって債務を引き受けるわけです。

  登記原因は『年月日相続』となります。

(2)免責的債務引受けを登記原因とする債務者変更登記

  (1)に続いて、相続人全員と根抵当権者(銀行)が免責的債務引受け契約をしてこの債務を引き継ぐべき代表者を決めます。

  これによって他の相続人は根抵当債務から脱退することが可能となるのです。

  登記原因証明情報は、相続人全員と根抵当権者(銀行)が免責的債務引受け契約をした内容をそのまま記載した書面に設定者が署名捺印します。

  登記原因は『年月日免責的債務引受け』です。

 ・・・

このように抵当権と根抵当権とでは債務者の相続という事由に対する登記のやり方が微妙に異なります。

もっともこんな複雑な登記は本人申請する機会もないかとは思われますが、たかが登記、されど登記の見本みたいなものでしょうか。。

2009年3月31日 (火)

土地売買による所有権移転登記の登録免許税の減税率が4月以降も引き続き2年間延期されることが決定しました!

長ったらしい題名になりました。

法案名は、『所得税法等の一部を改正する法律案

簡単に言うと、『不動産売買』による所有権移転登記を申請するのに必要な登録免許税の税率は“固定資産評価額の千分の20”となっているのですが、現在のところ、土地の売買に限っては昨年の租税特別措置法(昨年の今頃はガソリン税の引き上げで大騒ぎになったことを覚えておられるかと思います。)により“千分の10”に減税措置が取られています。

この法案によれば、本年4月に入ると税率が“千分の13”に自動的・段階的に引き上げられることになっていました。

つまり明日までに法案が改正でもされない限り、そうなる運命だったのが、今月27日、先にあげた法案が可決されたとのことでひとまずは安心できました。

つまり、土地建物いずれも売買登記の登録免許税は従来のまま・・・ということになりました。

 ・・・

とまあ、これだけ書けば、『なんだ、そうなんだー。』で終わる話なんですが、

実際、財務省のホームページで公開されている改正後の法文を見ると難解そのもの。

原因は縦書きの法文にあります。

しかも数十ページにもわたる分量。

なんで今どき縦書きのままなんでしょう。

だいたい税法関連の法文は、最初から“横書き・数式入り・文字はアラビア数字”で書けば分かりやすいのに・・・と思ってしまいます。

こんなホームページをしげしげと閲覧しているのはごく限られた職業のヒトしかいないでしょうけど。。。

こんな長い文章の法案がたった一日で可決されているなんてすごいことです。

いくら審議が十分なされているからと言っても議決に加わるのは国会議員さんですよね。

みなさん解散も近いことから多忙な中よくこんな地味な法案のすべてに目が行き届くものだと思います。

議決がセレモニー化しているのでしょうか。

だとすれば

議員さんの数が多すぎる・・・という話にもつながってきますが。

 ・・・

だんだん話がずれてきましたのでもう一度元に戻ると、

要するに

4月に入っても登録免許税の税率は変わらない・・・ということでした。

2007年12月28日 (金)

カタカナ表記とローマ字表記

今さらと言う感じがしないではありませんが、

現三菱東京UFJ銀行に関わる不動産登記の話。

ご存知の通り現三菱東京UFJ銀行は“旧東京三菱銀行”と“旧ユーエフジェイ銀行”が合併してできた銀行です。

根抵当権などの不動産担保関連の登記をする上で紛らわしいのがこれら合併前後の銀行名です。

①旧東京三菱銀行⇒現三菱東京UFJ銀行

②旧ユーエフジェイ銀行⇒現三菱東京UFJ銀行

というふうに各銀行名称が変更されました。

一見、ふーんと言う感じですが我々司法書士にとっては絶対間違えてはならないことがいくつかあります。

 ・・・

1.まず①のケース

旧東京三菱銀行にしろ現三菱東京UFJ銀行にしろ、『東京』と『三菱』のどちらが前に来ているかという点

※一般の方にとってはささいな問題でしょうが、一言一句間違えることが許されない我々司法書士にとってはこれを間違えて登記すると大変なことになります。2年経った今でも時々どっちが前だったかなと不安になります。登記申請の際は必ず資格証明などで確認するようにしています。

2.②のケース

旧ユーエフジェイ銀行の場合はどうでしょう。この場合、現三菱東京UFJ銀行との商号の一番大きな違いは、旧行時代はカタカナ表記で、現在はローマ字表記になっているという点です。(これは旧三和銀行と旧東海銀行が合併した当時、登記簿の商号としてはローマ字表記が認められていなかっただけのこと。)

登記申請書に旧ユーエフジェイ銀行の商号を記載する機会も未だに時々ありますが、これを『UFJ銀行』・・などと記載してしまったりすると登記はアウトになります。

登記官が登記調査の段階で気付いてくれれば訂正の機会もあるというものですが、司法書士が気付かないほどですから登記官もこれを見逃す可能性があります。

3.合併日と商号変更日の登記原因日付が相違している点

これも間違えやすい点です。

現三菱東京UFJ銀行が合併した際、旧東京三菱銀行は商号変更合併直前にしており、その後旧ユーエフジェイ銀行を吸収しました。

ですので

旧両行の合併日(H18.1.4)商号変更日(H18.1.1)とが異なっていますので登記の際は要注意です。

 ※これは三井住友銀行の合併のケースと明確に区別する必要があります。三井住友銀行の場合、わかしお銀行に吸収合併されましたが、その際同一日付でわかしお銀行が商号変更して三井住友銀行になりました。ですので、三井住友銀行の場合は、三井住友銀行が三井住友銀行(旧わかしお銀行)に吸収合併されたということになります。わかしお銀行が三井住友銀行に商号変更した日と三井住友銀行を合併した日は同じ日付だということです。

2007年7月11日 (水)

旧住専の抵当権抹消

旧住専の抵当権抹消登記はどのようにするか。

現在、住専各社は清算され、存在していません。

しかし、今でも時々旧住専の抵当権の抹消登記の依頼があります。

こんな場合、どこに問い合わせればよいのでしょうか。

 ・・・

旧住専と聞いても知らない人も増えてきました。

無理もないですよねー。

バブル崩壊から20年近く経とうとしているのですから・・

現在、金融機関から住宅ローンを借りる場合、多くは、○○信用保証などという保証会社に保証委託契約を結びます。というより、有無を言わずそうさせられます。こうすることで連帯保証人を求められることもなくなるのですからある意味ありがたいですけどねー。

が、こうした保証会社が出現する以前、すなわち、バブル崩壊前の住宅ローンの多くはこれを専門とするいわゆるノンバンクと呼ばれる民間企業が扱っていました。

住宅ローン専門の融資会社

これを略して“住専”と呼んだのです。

住専は銀行じゃありませんから、その融資金の資金調達先はもっぱら金融機関からの借り入れによってまかなわれていました。

したがって、市中銀行の金利よりも若干高金利です。

金利は高いが、審査は甘い。これが住専の謳い文句です。

当時不動産価格は高騰を続けており、多少の高金利でも、それを利用して不動産を買っておきさえすれば、その後、転売すれば、高金利を支払ってもまださらに大きなキャピタルゲインが得られたのでこういう商売が成り立っていたのですねー。

この当時は、不動産であれば天井知らずで値上がりを続けていましたから、どんな土地でも中古建物でも買えば即高値で転売できました。

 ・・・

当時の司法書士は誰しも経験していますが、どうせ買ってもすぐに転売してしまうので登記費用を節約するための中間省略登記が業者間ではごく当然に行われていました。

中間省略登記というのは、ABCと転々売買したのにもかかわらず、Bは所有権取得の登記はあえてしません。その代わりに、Aから買主名白地のまま売渡証や委任状を預かっておき、Aの印鑑証明の三ヶ月という有効期限が過ぎるまでにBはCにその物件を転売し、Aから預かった売渡証の買主欄にCと記入し、あたかもAC間に直接所有権が移転したことにして登記申請するというものです。目的は登録免許税逃れです。当時の税率は5%でしたので、一億の物件なら500万円が浮くという計算になります。

この頃の取引は、午前中に買って、午後には売却したり、あるいは、同じ時刻に別室にすでに次の買主が待機しているということもたびたびでした。決済にいちいち銀行振り込みしていたのでは間に合わないから、買主は紙袋に入った札束を取り出し、売主に手渡すのです。そして買主は空になった紙袋をそのまま手に持って隣の別室に行って、今手に入れたばかりの不動産を次の買主に売り、空の紙袋に再び売却代金をギューっと詰めて持ち帰るのです。紙袋から札束が顔を出したまま持ち運ばれるという時代でした。

銀行員でもない限り、億単位の現ナマを目にする機会はそうあるものじゃありません。

しかし、バブルの頃はごく普通に目にしたものです。

一億円というのは、一万円札の札束が百均で打ってる紙袋一つ分にちょうど納まる大きさ・・なんですよね。

 ・・・

平成2年の3月。時の政府は、この狂乱的な地価の高騰を防止するために、金融機関に対して、不動産転売で利益を得る業種であった不動産・建設・ノンバンクの各社に対する融資を総量規制するよう通達を行いました。

ツルの一声。。

おそろしいもので、この通達が出た翌日から、不動産取引はパタリと止みました。不動産・建設・ノンバンクの各社はその資金源を断たれたのです。司法書士の取引決済の依頼もこの日を限りにピタリと止みました。

土地価格は一転して急降下し始め、各社は我先にと手持ち不動産を売り急ぎ始めました。元々、キャピタルゲイン込みの高値で仕入れたものですから、価格が下がり始めれば、あっという間に大幅な担保割れを起こします。無事に売り抜けられたところは良かったのですが、当時のこれらの3業種はすでに体力の何倍ものローンを抱えており、行き詰るのは時間の問題でした。

不動産の資産としての欠点の一つに、換金性が乏しことというのがあります。不動産のプロたちがこぞってこの基本を忘れていたのは残念な限りです。

こうした3業種が倒れた結果、回りまわってこれが不良債権の山となり、融資元の金融機関にも災いが及び、現在に至る再編劇となったことは周知のとおりです。

 ・・・

さて、冒頭の答えです。

住専各社の大半はその後倒産しました。

そしてその後の住専処理を引き継いだのが整理回収機構です。別名RCC。

現在もまだ旧住専の住宅ローンの管理や登記手続きの清算事務をしています。

というわけで、旧住専の抹消登記手続きのことはお近くの整理回収機構に問い合わせしていただければ解決の糸口が掴めます。

身分証明書最新の不動産登記簿謄本をご用意されるとベターです。

ご住所に変更がある場合は住民票も用意されておいた方がよろしいかと思います。

そんなややこしいことはやれないよという方は司法書士にご相談ください。

                                            終わり

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